序章

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 リフトを降りてようやく最下階にたどり着いた。  後は目的の部屋を探すだけなのだが……なかなかそう簡単には行かないものだ。 「ネコヒトの小僧がうろついていると聞いていたが、本命はこっちか?」 「ほんめー?何だか知らねぇが、そこ通らせてもらうぜ!」  既に警備兵が臨戦体勢で回り込んでいた。  さっさとバトルを終わらせるため、レッドは正面きって飛び込んでいく。  ロボの機体を掴み、持ち上げようとハンドルを切った。 「フン…甘いっ!」 「どわぁっ!あっぶね!!」  それよりも早く、警備兵がロボの後ろについていたナイフを突き出してきた。  レッドは慌てて掴んでいたアームを離し、後ろに跳んでかわした。 「マジかよ…どうすっかなー」  上手く後ろに回り込めたとしても、こちらの動きよりも早くあのナイフで攻撃してくるだろう。  これでは迂闊には手を出せない。 「さっきの威勢はどうした?来ないならこちらから行くぞ!」 「ヘッ、やれるものならやってみろっつーの!」  攻撃をかわしながら、レッドは反撃のチャンスを窺う。  さすがはクーバース兵……下っ端といえど、動きはしっかりと訓練されている。 「これでトドメだ!」 「うおわっ!!」  飛び上がっての強烈な突き攻撃をなんとかかわす。 「!しまった…」 「チャンス!」  目標を失ったナイフは床に深く突き刺さり、抜けなくなってしまった。  レッドは後ろに回り、ロボの機体を掴む。 「うおおおおおっ!!!」 「うわああああっ!!!」  バキッとナイフを折り、その機体を持ち上げて投げた。  ロボは床に跳ね返って一回転し、動かなくなった。  レッドの勝利だ。 「フゥ……それにしても、他にも潜り込んでいるヤツがいるのか?」  彼は先程、“ネコヒトの小僧”と言っていた。  もし先客がいるなら、先を越されてしまうかもしれない。  レッドは急いで目的の部屋を探すべく走り出した。 .
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