漆黒

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たかが病室のドアなのに、手が震えやがる。 恐る恐るドアに手をかけた。 目の奥が熱い。 心臓ってこんなに速く動くのかよ。 俺今立ってる? わっかんねぇ…。 だってついさっきましろの店に忘れ物届けて…それから…。 それから… 俺ましろのオデコにデコピンして…? それからチュウしたんだ。 それが…? それがなんだよ… なんなだよ! 変な機会とチューブに繋がれて、スヤスヤ寝てる? ふざけんなよ。おてんばにも程があるだろ! 雛「大丈夫だって!一応検査で機会はつけてるだけ、すぐ外れるみたい。雪がクッション代わりになったみたいね。」 俺は歩くのでさえ精一杯でなんとかましろのベットまで来た。 時計の針みたいに、機会からは一定の音が鳴った。 ゆっくり手を伸ばした。 髪に、睫毛、頬、 唇。 光「あったけぇ…」 安心したのか、腰が抜けるってこの事か? その場に砕けるように座り込んだ。 それと同時に目からポロポロと涙か落ちた。安心なのか恐怖なのか。 雛「光?大丈夫!?」 光「まじ、ビビった。頭の中ぐちゃぐちゃになった。俺馬鹿だからよけいテンパって…死んだりしないよね?大丈夫だよね?」 涙なんてないと思ってた。ばぁちゃん死んでも、友達死んでも涙なんか出なかったし。 なのに、これは何なんだろ。 しばらくしてお店のみんなが来た。 今日の面会時間が終わり、明日の朝には目が覚めるらしいから、みんな明日また来ることになった。
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