ひとり

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改めて考えてみると、俺は将太の生活をよく知らない。 家にだって上がったことはないし、バイト先がどこにあるかも知らない。 交遊関係にも明るくない。 なにも知らない。 そもそも、将太は大学でもいつもひとりだった。 佳奈衣と付き合っていたのも、言われるまで気づかなかったくらいだ。 友達とつるむイメージは皆無。 俺たちがあの頃四人で行動できたのは、奇跡に近かったようにすら思う。 どうしろっていうんだ。 どこから突破していいかわからない。 自宅に押しかけたとしても、彼がいる可能性はまずないだろう。 なんだこれ。 真っ暗過ぎて途方に暮れてしまいそうだ。
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