ひとり

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軽く訊かれて、とっさに口が動かない。 「……あんたには関係ない」 僅かな間を悟られないように声を押し出した。 『この間修羅場んなってたからさあ、気になってたんだよね。もしかして別れた?』 「関係ないだろ」 『別れたんだ?』 「別れてない」 『だったら早く見切りつけろよ』 「あんたには関係ない。何度も言わせんな」 勇が、受話器のむこうで小さく笑うのが聴こえた。 小バカにしたような笑い方。 『図星だったろ、あれ。続くわけないじゃん』 俺の言うことなんてこれっぽっちも聞いてない。 しかも神経を逆なでする発言ばっかり。
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