ひとり

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『もうすぐ母さんとこ行く日になるだろ? そんとき、オレらも行くから。 さすがに三人だけは無理』 「勝手に決めんなよ」 『なに、いやなの?』 訊かれて、反論を続けようとした口を閉じた。 勇に会うのはいやだ。 でも、彼女に会うのはいやじゃない。 無言の理解を示してくれる彼女には、むしろ会ってみたいと思う。 「……別にいいけど」 ほかに言いようがなくて、いつもどおり捻くれた言い方になる。 『じゃ、決まりね』 そのとき。 声にかぶるように、玄関のチャイムが鳴り響いた。
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