428人が本棚に入れています
本棚に追加
身体じゅうが一瞬にして緊張に満たされる。
……誰だ?
将太……?
固まっていると、再びチャイムの音。
勇のように非常識な鳴らし方ではない。
反応を確認する間をもたせながら、それでもすぐには帰らない。
「悪い、切る」
返事を待たずに通話を断つ。
ケータイをソファに投げ出して、インターホンを手に取った。
「……はい」
外の静寂が苦しい。
喉がカラカラになる。
『あの……突然ごめんなさい。
三ツ橋麟くんのお宅で間違いないですか?』
知らない女の声。
落ち着いた、大人の。
ドクン、と心臓が一際強く脈打つ。
最初のコメントを投稿しよう!