燃え堕ちるもの

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彼女が目を見開く。 わかってはいても、実際に耳にしたときの重みはまったく違う。 受け入れられない目はしていない。 けれど、受け入れられる目でもない。 どっち着かずでさ迷う瞳が小刻みに揺れるのを見ていたら、逆に肝が据わってきた。 ドクドクうるさかった身体が、少しずつ落ち着きを取り戻していく。 ……そうだ。 どんなに焦ったって、もうなるようにしかならない。 扉は開かれてしまった。 ……ごめん、将太。 勝手にバラしてしまった。 噂じゃなく、人づてじゃなく、当事者の口から伝えてしまった。 おまえに断りもなく。 おまえがなにより怖れた状況に持っていった。 ごめんな。 ……ごめん。
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