燃え堕ちるもの

10/24
前へ
/394ページ
次へ
「男どうしですけど、付き合ってます。 いまは……ちょっと微妙な感じですけど」 将太とよく似た目が、躊躇うように俺を見つめた。 「喧嘩でもしたの?」 細い声がそう尋ねる。 「まあ、そんな感じです。もしかしたらもう……」 言いかけてやめた。 将太の母親なら、どうなることを期待するかを考えた。 俺の気持ちなんかどうだっていい。 ただ、事実を伝えればいいだけなのだから。 そう思った矢先。 「将太を好きになってくれてありがとう」 唐突に、はっきりとした口調で彼女は言った。 驚いて見返した先にあるのは、それでもやっぱり揺らいだままの瞳。 「……え?」
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!

428人が本棚に入れています
本棚に追加