燃え堕ちるもの

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「どうして?」 逆に訊かれてしまった。 不思議そうに俺を見返す視線が痛い。 「俺がいなければこんなことにはならなかったんです。それは間違いない。 あなたや将太が家に居づらくなることもなくて、苦しむこともなくて……全部俺のせいなんです」 「それは違うと思うわ」 素早く否定されて、俺は口をつぐんだ。 「ただのきっかけでしょう? いつかわかるなら早いほうがよかったし、それは気にしないでちょうだい。 それより、将太をひとりにしたくないならあなたが傍にいてあげて。三ツ橋くん」 「……え?」 「親子の問題は親子の問題。わたしは別に息子の恋愛に口を挟みたいわけじゃないの。 矛盾してるけどね」 笑って言われても、俺は笑えない。 どう反応していいのかわからない。 「そんな困った顔しないで。 親が無理に別れさせてなんになるの? お嬢様じゃあるまいし、そこまでしないわよ。 それにね」 一旦言葉を切って、彼女は小さく息を吐いた。 そこにどんな感情が隠されているのか、知る術はない。
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