燃え堕ちるもの

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★★★ 初対面の大人の前でボロ泣くという醜態を晒した翌日。 講義を終えると、俺は普段使わない駅で電車を降りた。 将太に会うためだ。 バイト先を尋ねると、彼の母は快く教えてくれた。 ただし、社名と最寄り駅だけの情報。 あとの詳しい住所は、ネットで手に入れた。 あいつ。 やたら疲れていると思ったのは、間違いではなかった。 彼が働いていたのは工場。 特に時給がいいという話も聞かなかったし、なぜわざわざ肉体労働的な仕事を選んだのだろう。 そして、それを俺に隠していた。 ……詮索ばかりしても、もう意味はないんだ。 往生際が悪いったらない。 いまさら将太に会いに行くのは、なんのためだよ。
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