428人が本棚に入れています
本棚に追加
……別れるためじゃないのか?
自分にそう言い聞かせながらも、呼吸が浅くなるのを感じる。
酸素が薄い。
苦しい。
でも、どうしても会いたい。
彼の母親と話をした結果、電話だと確実に、二度と会えなくなる予感がした。
会ってもらえないと思った。
最後はきっちり会って話したい。
顔を見ながら好きだと伝えたい。
もう無理なら、なおさら。
謝って、告白して、こっぴどく振られてしまえばいい。
戻れないくらいきつい言葉で罵られて、消えちまえと吐き捨てられたなら、多少は諦めもつくはずだ。
電話するのを躊躇っていた俺は、昨日消えた。
怖がるだけ無駄だと悟ったから。
動くのに余計な枷は、彼女に外してもらった。
たったひとことで身軽になれた。
子供だと嘆いたってしかたない。
子供は大人じゃないのだから。
自分自身を受け入れるしかない。
つらい、寂しい、抱きしめられたい自分自身を。
最初のコメントを投稿しよう!