燃え堕ちるもの

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……別れるためじゃないのか? 自分にそう言い聞かせながらも、呼吸が浅くなるのを感じる。 酸素が薄い。 苦しい。 でも、どうしても会いたい。 彼の母親と話をした結果、電話だと確実に、二度と会えなくなる予感がした。 会ってもらえないと思った。 最後はきっちり会って話したい。 顔を見ながら好きだと伝えたい。 もう無理なら、なおさら。 謝って、告白して、こっぴどく振られてしまえばいい。 戻れないくらいきつい言葉で罵られて、消えちまえと吐き捨てられたなら、多少は諦めもつくはずだ。 電話するのを躊躇っていた俺は、昨日消えた。 怖がるだけ無駄だと悟ったから。 動くのに余計な枷は、彼女に外してもらった。 たったひとことで身軽になれた。 子供だと嘆いたってしかたない。 子供は大人じゃないのだから。 自分自身を受け入れるしかない。 つらい、寂しい、抱きしめられたい自分自身を。
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