燃え堕ちるもの

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ネットの地図で調べたとおりの場所に、その工場はあった。 食品加工工場。 そびえ立つ大きな面構えにビクつく。 とりあえず、従業員出入り口の近くで待つことにした。 バイトの時間帯なんて知らない。 このまま待つしか術はない。 とはいえ、真ん前で待つとただの怪しい男。 道路を挟んだ向かい側、少し離れた位置に自動販売機を見つけたので、その脇で待つ。 待つのは苦じゃない。 終わることを思えば、むしろこのまま待ち続けていられれば、くらいな心境。 言うべき言葉をうまく伝えられるだろうか。 将太は耳を傾けてくれるだろうか。 そんなことをつらつら頭に巡らせながら、どのくらい経っただろう。 まだ明るかった空色が夕闇に包まれ始め、多少人の顔が判別しづらくなった頃。 あいつが現れた。 …………佳奈衣。
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