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そこまで考えたら、急にドキドキし始めた。
忙しなく感情が入れ代わって、どうしたらいいのかわからない。
この状況をどう捉えたらよいのかも。
「……黙るなよ」
むっつりした顔を想像できる声音で、将太がつぶやくように言う。
だんまりが得意な男の台詞ではない。
ますますこんがらがる。
「なに怒ってんの」
しかたないので、繰り返して尋ねた。
それ以外なにも浮かばなかった。
「おまえが逃げたから」
端的な答え。
鼓動がうるさいくらい身体じゅうに響く。
「逃げるなって言ったおまえが逃げたから」
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