好きだ

14/23
前へ
/394ページ
次へ
「……いまので証明になったかな」 背中で将太がぽつりとつぶやいた。 息がかかるたびにゾクゾクして、いっそ倒れたくなる。 「なんの話……?」 声がいつもより掠れた。 「僕が……僕は間違ってた。ずっと間違ってた」 ささやくように言う言葉の真意を探るより、抱きしめたくてしかたなくなった。 意志が弱い。 だって無理だ。 こんなの反則だ。 「ひとりになって、よくわかったんだ」 「……なにが」 尋ねた直後、さらにきつく拘束される。 「麟……」 名前を呼ばれるだけで苦しい。 ……もういいや。 きっと、会話なんていまは意味がない。 「将太。手、離して」
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!

428人が本棚に入れています
本棚に追加