428人が本棚に入れています
本棚に追加
「……いまので証明になったかな」
背中で将太がぽつりとつぶやいた。
息がかかるたびにゾクゾクして、いっそ倒れたくなる。
「なんの話……?」
声がいつもより掠れた。
「僕が……僕は間違ってた。ずっと間違ってた」
ささやくように言う言葉の真意を探るより、抱きしめたくてしかたなくなった。
意志が弱い。
だって無理だ。
こんなの反則だ。
「ひとりになって、よくわかったんだ」
「……なにが」
尋ねた直後、さらにきつく拘束される。
「麟……」
名前を呼ばれるだけで苦しい。
……もういいや。
きっと、会話なんていまは意味がない。
「将太。手、離して」
最初のコメントを投稿しよう!