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★★★
目覚めると、至近距離に将太の顔があった。
しかもなぜか微笑んでいる。
ほの暗い照明のなかに浮かぶ笑み。
文句なしに綺麗だと思う。
「……ずっと起きてた?
もう朝?」
大あくびをしながら尋ねると、移ったあくびを噛み殺しながら笑われた。
「さっき目が覚めた。
まだ三時過ぎだよ」
大きな瞳がずうっと俺を見ている。
出会った頃の彼とも、ついこの間までの彼とも違う。
会わない時間が彼を変えたのだ。
たぶんきっと、いいほうに。
「そんなに見ないでくれる?」
なんだか恥ずかしくなってきた。
いつも見つめ続けるのは俺のほうで、逆の立場なんて慣れていないのだ。
しかも、近すぎる。
「見てたいんだ」
当然のように返されて、胸の奥がキュンと鳴った。
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