好きだ

18/23
前へ
/394ページ
次へ
「将太。……ごめんな」 すぐそこにある裸の肩を抱き寄せると、彼も素直に頭を擦り寄せてきた。 体温がじかに伝わってくる。 ドキドキが心地好い。 「なにが?」 「俺……ほんとに無神経だった。本気で言ったわけじゃないんだ」 あのときの俺は別人だった、なんて言えない。 あのときの俺も間違いなく俺。 紛れもなく、俺のこの口から出た言葉。 「わかってる。そんなの、あのときにもうわかってた」 目を逸らさないまま、将太はそう言い切った。 「でも、許さない」 甘く蕩けそうだった瞳が、不意に厳しく鋭く光る。 「将太……」 「少しでも頭の隅にないとあんなこと言えやしないだろ。僕のこと馬鹿にしてんの」
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!

428人が本棚に入れています
本棚に追加