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「どんな顔してんのか見せてよ」
身体をずらし、肩に張り付く頭を外した。
また隠される前に、その両頬をてのひらで包み込む。
逃がさない。
「なにすんだよ」
弱々しい声で抗議する唇に、そっと口づける。
「将太。好き」
唇が離れきらない距離のまま、言った。
どんな言葉より、キスひとつのほうが断然強力。
嘘がつけないから。
でも伝えたかった。
傷つけた俺の口から、ちゃんと。
「俺がおまえを捨てるわけないだろ」
逆なら有り得るけど。
なんて言ったら怒られそうだから、いまは黙っておく。
頬を挟まれた潰れ顔のまま、将太の表情はみるみる歪んでいく。
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