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「まさか……〝適合者〟とはな。意外だぜ」
「?」
状況が飲み込めない七瀬は、唖然とするしかなく、黙って続きを待った。
「よく分からないから説明してくれつー顔だな。ま、トーゼンだわな。俺に斬られて、生きてんだからさ」
一夜は、七瀬を指差して笑った。夢じゃなかったと思い、七瀬は改めて胸元を見た……スーツは切り裂かれ、肌が露になっており、乾ききった血がこびりついていたのだ。
だが、傷跡が無いのだ。
「なん…で?」
流石に動揺を隠せない七瀬が再度、一夜を見ると、そう尋ねた。
「普通ならアレで死んでるだけどな、たまに……死なずにいる奴がいる……それが〝適合者〟なんだよ」
「適合者?どういう……、何で僕が斬られなきゃらないんだい?」
日常からかなりかけ離れた内容に対し、七瀬には冷静さが戻りつつあった。まだ頭は、やや混乱している、なのに質問をしてしまう自分に戸惑いながらも、七瀬は、一夜の話を聞いていた。通常なら、喚いたり、嘆くか、責める……それすらせずにだ。
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