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「七瀬と呼んで構わんか?」
「あ、はい……」
ゆっくりと歩み寄る青年は、綺麗な目を細めて笑った。
「余に名は無い……好きに呼べ」
「俺は、上様って呼んでるケド、他のヤツは〝旦那〟って呼んでるんだぜ。七瀬サンも好きに呼べよ」
足組み、手をヒラヒラとさせながら、一夜がふざけた態度で呟くと、青年は、困った様な目を七瀬に向ける。
呆気にとられていた七瀬は、我に返った。
「あ、貴方が……一夜くんの上司なのですか?」
見た目は、一夜より少し上……二十歳ぐらいにしか見えない。
ただ、一夜が多少、敬う様な態度と〝上様や旦那〟という呼び方から、上司だろうと推測したからだ。
「そうだな。一夜や五月、二葉に指示をし、死神としての役割をこなしている存在なのだよ」
外見とは裏腹に、古めかしい話し方をする青年は、疑問に答えた。
「さて、七瀬よ。聞きたい事はないか」
「はい……その死神って、具体的に何をするんですか」
当然と言えば当然なのだが、一夜や目の前の死神にとっては、意外だったらしい。
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