第二夜 「適合者」

5/11
前へ
/110ページ
次へ
「七瀬と呼んで構わんか?」 「あ、はい……」 ゆっくりと歩み寄る青年は、綺麗な目を細めて笑った。 「余に名は無い……好きに呼べ」 「俺は、上様って呼んでるケド、他のヤツは〝旦那〟って呼んでるんだぜ。七瀬サンも好きに呼べよ」 足組み、手をヒラヒラとさせながら、一夜がふざけた態度で呟くと、青年は、困った様な目を七瀬に向ける。 呆気にとられていた七瀬は、我に返った。 「あ、貴方が……一夜くんの上司なのですか?」 見た目は、一夜より少し上……二十歳ぐらいにしか見えない。 ただ、一夜が多少、敬う様な態度と〝上様や旦那〟という呼び方から、上司だろうと推測したからだ。 「そうだな。一夜や五月、二葉に指示をし、死神としての役割をこなしている存在なのだよ」 外見とは裏腹に、古めかしい話し方をする青年は、疑問に答えた。 「さて、七瀬よ。聞きたい事はないか」 「はい……その死神って、具体的に何をするんですか」 当然と言えば当然なのだが、一夜や目の前の死神にとっては、意外だったらしい。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加