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「オニーサン。五円玉二枚と十円玉、取り替えてくんね?コーラ飲みてーのに、あと十円ないんだよな」
友達に話しかける様な口調で言う少年をもう一度見る。
つり目気味で、生意気そうな雰囲気をしているが、真っ直ぐと相手を見る目が印象的だなと七瀬は思った。
「いいよ。はい」
七瀬は、小銭入れから十円を取り出すと、少年に手渡した。少年は、十円玉を受け取り、五円玉二枚を手渡すと、短くお礼を言い、自販機に向かって歩いていく……そのまま、コーラを買い、彼は公園から姿を消した。
同時に七瀬も、自販機から目線を反らし、黄昏の空を見た。
「お腹すいたな……ラーメンでも食べて帰るかな」
そう決め、残り少ない缶コーヒーを飲み干し、ベンチから立ち上がって、公園を後にした。
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