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現世では、七瀬と五月が愛子の店を出て、街を歩いていた。
夕暮れがやけに綺麗で、七瀬と五月は、ビルの壁に凭れながら、夕焼けに染まる街を眺めていたのである。
「愛子さんのアイスコーヒー、美味しかったなぁ…」
「あそこのアイスコーヒー飲んだら缶コーヒーが飲めなくなっちゃったんですよ。僕…」
彼女が淹れたアイスコーヒーは、今まで飲んだのより、ずっと美味しかったのを七瀬は思い出す。帰り際、次は酒でも飲みに来てくれというのを思い出した七瀬と五月は、笑いあった。
「よく行くんです。七瀬さんもたまに顔を見せに行ってあげてはどうです?火曜日以外なら営業してますから」
五月は、屈託なく笑いながら言った。五月は愛子を姉の様に慕っているらしい。
ふと、五月は空を見上げ、真面目な表情をした。
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