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商店街にある、偶然入ったラーメン屋で味噌ラーメンを食べていると、奥のカウンターで、先程の少年がラーメンを食べているのに気が付いた。
傍らには、携帯があり、時折、それを見ながら、食べていたのだ。
(食べたり、携帯したり忙しいんだな。最近の若者って)
少年を横目で見ながら、七瀬は、スープを飲み、再び麺を啜った。
値段の割には、なかなか美味かったと思いながら。
七瀬がラーメンを食べ終わる頃、少年は、とっくに姿を消しており、七瀬も会計を済ませ、店を出た。
黄昏色だった空は、夜の帳が降り始めていたところだった。七瀬は、ゆっくりと商店街を歩き、アパートへと向かったが、途中で明日食べるパンを買わなければと思い出し、近くのコンビニに入った。
「サンドイッチと……野菜ジュースでいいか……ん?」
目当てのものと、缶ビールを籠に入れた時に、レジ付近にある弁当置き場には、すっかり見慣れた隻眼の少年が弁当を物色していた。
公園、ラーメン屋、コンビニ……三度目の再会である……普通なら、『やあ、偶然だね』とでも声を掛けたくなるが、七瀬はしなかった。
興味がなかったというより、必要ないと考えたからだ。
そんな考えをしていると、少年と目があった。
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