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「多分、七瀬サンが思っている意味とは違うと思うぜ?」
「ん?どういう意味だい?」
数秒間の沈黙が流れる……一夜は頭をかきながら、椅子から立ち上がった。
「自分で考えて気付かなきゃな~七瀬サン」
七瀬に向かって、真剣な表情を向けた一夜がそう言うと、休憩所を出ていったのだった。
後には、怪訝そうに首を傾げながら一夜が出ていった方向を眺めている七瀬の姿があるだけである。
「それで、余を訪ねて来たのか?」
周囲を本棚で囲まれ、香の匂いが漂う書斎にて、和装を纏い、長い黒髪に隠れた朱色の瞳ともう片方の闇色の瞳が七瀬を見る。
七瀬はといえば、困惑した表情で立ち尽くしている。
「立ち話もなんだ。座ったらどうだ?」
上司は、執務机から離れ、近くにあるソファーに座り、正面のソファーに座る様に促した。
七瀬は、軽く頭を下げ、それに従うと、今まで一夜と話した会話を聞かせたのだった。
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