第一夜 「さらば、日常」

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「ちょーっと、外に出ようぜ。オニーサン」 返事も聞かず、七瀬の腕を掴み、外に連れ出した。 人気がない路地裏にて、七瀬は漸く解放される。 少年は、七瀬に対し、知人に挨拶を交わすかの様なノリで話しかけてきた。 「一夜だ。一つの夜って書いて、カズヤ……格好いいだろ?気に入ってんだぜ」 「……漁七瀬。漁業の漁って書いて、スナドリって読むよ。七瀬は漢数字の七に瀬戸内海の瀬だよ」 一夜がいきなり名乗った為に、七瀬も取りあえず名乗った。一夜は、名前に同じ数字に関するだ名前なぁーと呟き、七瀬を眺めている。 当の七瀬は、何故に外に連れ出されたのかを考えた。 (リアクションを返さなかったのに怒っているのかな) だとしたら、申し訳ないという気分になった。 性格上、そんなノリが出来ない自分に憤りを感じた一夜が、文句を言うなら、素直に聞き入れ、謝るべきかと考えていたのだ。
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