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「サンタクロースや妖精とかかな?」
「そっちかよ……つか、死神とかだよ」
またしても、ズレた答えに対し、一夜は、更に呆れた表情になった。七瀬は、首を傾げながら腕を組む。
「死神かぁ……」
「オレが死神だったらどーする?」
一夜は、ニヤリと笑いながら言った。口の端から八重歯が覗く。
七瀬は、ポカンとした表情を彼に向けた。
「死神って、ドクロにローブ、鎌を持っているんじゃないのかな?一夜くんは、そんな格好していないじゃないか」
「……アンタ、天然とか変わってるって言われるだろ?つか、まあ……いいや。手っ取り早く済ませちまうかー」
疲れた様子を見せる一夜は、目線を七瀬に向けた。
彼の片目には、なにか形容しがたいものが見えた。
「…一夜くん?」
「アンタみたいなの、キライじゃねーけど。サヨナラだ。漁七瀬……本日、4月1日……午後、8時ジャスト……死亡」
彼の台詞を理解する間もなく、七瀬は、至近距離から、何かで体を斬られた感覚を感じ、そのまま意識を閉ざしてしまった。
「オヤスミ、七瀬サン」
一夜の低い声が路地裏に響いた。
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