12章§たおやかな狂える手に

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「………なんだ?」 剣呑な表情でレオは、振り向きざまに肩を掴んだロウを少し見上げて睨みつける。 「やけに、順応じゃねぇーか。十年前とは違うな……悪魔に性格でも変えられたか?」 ロウの発言にレオは嘆息すると、掴んでいる手を払いのけた。 「十年も経てば性格ぐらい変わる」 呆れたように返事をすると、振り返り歩を進めるレオ。 「ふぅーん……レオ、沸き上がる憎悪は消えやしなかったろ? "外"に出ても」 その背中を止めるように、ロウが言葉を紡ぐとレオは足を止めた。 「………。」 確かに、十年前よりも烙印の範囲は広がり、現在は七割ぐらい埋もれている状況。 広がりと同時に起こる身体反応も酷くなってきている。 何も言えないレオを背中越しに笑うと、ロウはニヤリと口元を歪め――…。 「悪魔のチカラをさっさと渡してしまえば、いいのによぉ~そうすれば左目は―――」 ――その発言にレオは眼光を怪しく光らせると、瞬時に右手を開き剣を出現させ、ロウの首筋に刃を突き付けた。 「!!!!」 近場で見ていたルフシュは瞠目するも、剣はこれ以上進まなかったので安心したように息をゆっくりと吐く。 「………サリアン・シャマシュ―――お前を逃がした奴だ。覚えてるだろ?」 「あぁ……命惜しさの戯れ事は、みっともないぞ」 冷静に言葉を返すとレオは、ずぶりと刃をロウの首筋に食い込ませた。
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