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「頭、やめてくだ―――」
ルフシュが、はっと気づきボーデンの背後へ叫ぶ最中――…。
血しぶきがブワッと舞い上がり、それは床や両者の衣服に飛び散った。
「なっ!!」
目を見開き、思わず駆け寄るルフシュ。
時間が止まって欲しい。
切に願う。
「はぁ……ぐっ」
痛みのショックで声が出ない。
――息をしていても辛い。
ロウはゾクゾクと立ち上る恐怖に堪えながら、思わず膝をつき、立っているボーデンを見上げ、様子を伺う。
「早く言え!!」
構わず、ボーデンは叫ぶとロウを見下ろし青眼をぎらつかせる。
「何してるんですか!!」
ルフシュは力任せに、華奢な身体つきのボーデンを押し退けると、膝をついているロウに必死に声をかける。
「ルフシュさん……すみません。ぐうっ!!!」
傷口を押さえている指の間から、ぬめりと赤黒い血が流れ落ちていきヅキヅキと痛みが込み上げる。
急いで治療したいのだが、しかし典薬庫は此処から遠いし、ボーデンがこの場から逃がしてくれるのかが奇しい。
「おい………邪魔だ」
血が刃にこびりついたノコギリをボーデンは振り上げながら、脅すように言うとルフシュは振り向きざまに、睨みつけた。
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