12章§たおやかな狂える手に

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「た、大変です!? とにかく!!」 女性はそれだけ告げると、レオの右腕を引っ張り走り出した。 「(はっ!?)」 よく解らぬまま、廊下を走るその先は―――…。 ∞∞∞ 「でも……君は、行かないんだね? ホルス?」 自室にいるオロは、テーブルに置いてあったティーセットで作ったコーヒーを口に含み、数秒後目の前にある白いソファーに固い表情で座っているホルス。 ――行く場所とは、主の所。 ホルスは瞬時に解釈し、口を開いた。 「………着いて来るなと……そう言われたから、行けないのじゃ」 「そうか、こっちは場所を知らなかったから、知らせれば向かうんだろうけど………火ノ国である定例会に響いたらマズイ―――それが無慈悲な大臣様々達の考えですよ?」 終盤から敬語になり、目が泳いでいるホルスに追い撃ちを掛けるように告げるオロ。 国の治安と、ひとりの少年の安否。 ――天秤に掛ける前に優劣はハッキリとしている。 王族権を担っているゼウスタ家では、忍び込み救出するのは至難の技。 冷静に考えれば、レオはあの家が『帰る場所』―――…。 レオは家出をして、無理矢理連れ戻されたも同然である。
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