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―天ノ国・テノール城―
レオが連れ去られたという情報は、事件発生の数時間後に伝えられた。
森ノ国から通信機器を駆使して、事情が済んだ後に目覚めたミクナはホルスから話を聴いた通りに、しゃくり声を上げながら、女王であるアリアに伝えのだ。
ホルスとミクナは次の日、早朝に向こうを発つそうだ。
「おっ、おい!!連れ去られたって、どういう事だよ!?」
事情は瞬く間に、同胞に伝わっていった。
情報を聞き、瞠目しているバラン・ミトランビーストは思わず叫ぶ。
「『どういう事』って言われてもね……私は、分からないし」
バランの目の前に立っているのは、オロ・ガイアナ。
"嘘"をさらりと言うとオロは、部屋を見渡す。
「ビンちゃん居ないみたいだね……じゃあ、バラン伝えててね」
今の事態に不適切な表情を浮かべ、ドアノブを捻ると手をひらひらと振りながら退散するオロ。
それを、バランは冷たく見返した。
自分の左目を触る。
そこには包帯が巻かれていて、現在は隻眼だ。
「レオ……あいつ、大丈夫だろうな!!」
苛立つように叫ぶとバランは、荒々しく白いソファーに座り込み、腕を組む。
同じ同胞――同じ青い目を持つ者として、バランは考えるのだった。
――誰に連れ去られたのかを。
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