12章§たおやかな狂える手に

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∞∞∞ 「………始まったね」 オロは、自室でポツリと呟くとテーブルに目を向ける。 そこに置いてある書類に手を伸ばすと、ペン立てに立てていたペンを徐に取り、さらさらと綴っていく。 まだ、仕事を終わらせていなかったのだ。 しばらく経ち、欠伸混じりにソファーの背もたれに寄り掛かり、腕を後ろに伸ばしていると―――突然部屋の隅が淡く光った。 「どうしたんだい? ホルス……ミクナの側にいなくて大丈夫かい? それとも――」 元の姿勢に戻ると、オロは凛とした声で言う。 「――主の居場所を教えに来てくれたのかな?」 「………知っておったのか」 ホルスは肯定と疑問が入り混じる言葉を呟くと、オロの近くへと歩み寄る。 「一応知らせておこうかと思ってじゃな……流石にミクナ殿には、話せまい内容じゃからな」 前置きをして、ホルスは複雑な表情を浮かべて話し始めた。 「おそらく、ゼウスタ家の者じゃ。レオの過去を知っておったようじゃし……本人が怯えておったからな」 「そうか……」 その台詞を聞くと、オロは密かに口角を吊り上げる。 ―――上手くいっているのだと。
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