12章§たおやかな狂える手に

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∞∞∞ オロがレオに会ったのは、今から約十年も前の事。 レオが七歳、オロは二十二歳の時のこと――――…。 ―十年前・琥珀砂漠― 春の半ば、砂は地を滑るように流れ、時折来る風がオロ――そして動物のリャナンシーにも襲い掛かり、地味に障害となってしまう。 「みゅ~!!!」 薄緑色の体毛で覆われているリャナンシーは、オロを乗せたまま辛そうに声を上げる。 くりくりとした目は、現在、瞼を強く閉じて砂が入るのを防いでいた。 「(風が強いな……)」 天候がイマイチ定まらない琥珀砂漠、早い所抜け出したいとオロは焦燥に駆られながらも、手綱を緩ませ、リャナンシーの首元を叩く。 「みゅっみゅいぃ!!」 オロの行為により、気合いが入ったのか高い声を上げて砂地を疾走する―――も!? 「みーーー!!!!」 何かのスイッチが入ったように、リャナンシーはいきなり足を止めた。 前のめりになり、慌ててバランスを保ち数秒。オロは何かあったのだと感じて一旦、リャナンシーの背中から飛び降りると、砂のせいで埋る足を少し高めに上げながら、進んでいくと。 ――前方に子供が倒れていた。
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