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均衡を崩さないように、埋る砂地に注意しながらオロは子供の元へ駆け寄る。
「………」
子供は俯せに倒れているも、顔は横を向いていて窒息の恐れはない。
外見からいくと男の子のようだ。
「大丈夫……な、ワケないか」
ひとりでに呟くとオロは子供の上体を片手で起こし、の白い頬を叩いて呼び掛ける。
肌は青白く、生気が感じられない。
うっすらとだが、子供は目を開け目の前にいたオロを見ると―――。
「近づくな!!」
まるで、怖いものを見たかのように子供はオロの胸板を押す、しかし――力が入っていない。
衰弱している事は、子供の表情を見ればわかる。兼業で医者をしているオロから見れば、なおのこと。
栄養不足なのか、疲労からか、恐怖からか分からないが子供の手は震えており、光がない青い瞳は揺れていた。
「よかった……意識はあるようだ」
子供の台詞を、オロは軽々と無視すると安堵の息を漏らす。
リャナンシーは二人の元へと近づき。
「みゅい、みゅっみゅい~みゅ、みゅっみゅっみーみゅーみゅい!!」
讃歌でも歌うかのように、鳴き声を上げていた。
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