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ベッドに飛び乗り、跳ねてみる。
予想に反して弾んだりはしなかった。何度か飛び跳ねてみたけど、これはつまらない。
そうだ庭へも出てみよう。
わたしの身体はするりとドアを抜け、外の風景の中へと飛び出した。
かっと照りつける、射すような攻撃的な光。もう春はとうに過ぎていた。
夏はその日射しでめらめらと、空気の粒でさえ燃やそうとしているようだ。
だが不思議と暑くはない。わたしは庭を這う虫を観察したり、路上の石ころを転がして追いかけて遊んでいた。
ふと気配を感じて振り返る。そこには、黒い影法師がいた。
『あいつ』だ。瞬間的に判った。
なぜだろう。怖くはなかった。
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