「わたし」

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『あなた』は労るように触れてくる。優しく優しく、撫でることでわたしが元気になるよう祈りを込めているよう。 彼女は包むように触れてくる。立ち上がらせたり姿勢を変えられたり、床擦れができないように気を配ってくれる。時おりブラシをかけたり、体を拭いてくれるのもきっと彼女だ。 妹は元気だ。生まれた頃から活発で、幼い彼女に気に入られて、毎日毎日、格闘に近いことをして遊んでいたのも最近のことのようだけど。 わたしがあまり動かなくなってきてからは、恐る恐る、壊れ物を扱うかのように触れてくる。 おそらく妹は「死」というものをまだ身近に感じた事がないので、戸惑っているのだろう。 わたしは、お気に入りの毛布の上に寝ている。 見えなくても、きっとそうだと分かる。『あなた』がくれた毛布だもの。 ずいぶん息をするのが億劫になった。苦しい。口を開けて、はあはあと大げさな呼吸をしていないと酸素が取り込めない。 でもそうすると、すぐに疲れて毛布の上にぱたんと倒れてしまう。もう自力で起き上がっていられるほどの体力が残っていないのだ。 .
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