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「臨」
ふと聞こえた声に顔を上げると、そこには僕の大好きで大嫌いな幼なじみがいた。
「…裕、学校ではあまり話しかけないでって言ってるよね…?…」
僕のその言葉に、裕は一瞬顔をしかめたが、すぐにまたいつもの優しい微笑みを僕に向けた。
「…私、もっと臨とお話がしたいんです。だめでしたか…?」
彼女のその言葉に、僕の全細胞が悲鳴をあげた。
たちまち、僕達の間に静かな時が流れる。
僕は読んでいた本でせめてもの照れ隠しに自分の顔を覆いながら、彼女の言葉に否定も肯定もできなかった。
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