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「仕方無いのですよ。将来のことを考えたら、他の子を育てた方が良いだろう……と、言われてしまったのですから」
言って、神父はシュバルツの肩に手を置いた。そして、両腕に力を込めて青年を座らせると、疲れた様子で話を続ける。
「今は、単なる脅しでしょうが……貴方も、上に逆らえないことは御存じでしょう? ですから、いっそのこと賭に出てみるのも有りかと考えたのですが」
そう言って神父は苦笑し、それから首を傾げてみせた。
「幸か不幸か、あの子の素顔を知る方は少ないですからね。名乗る名前が変われば、結構騙せるんじゃないかと思いますよ」
神父の話を聞いた者は深い溜め息を吐き、それからソファーに座り直す。
「まあ、騙せないこともないと思うけど……それって、ユーグが居なくなる前提だよね? 神父様は、本当にそれで良いの?」
そう問い掛けると、青年は目を細めて神父の顔を見つめた。対する神父は首を振り、小さな声で話し始める。
「そうは言っておりませんよ。ですが、何もせずに命を落とすより良いのでは?」
そう伝えると神父は苦笑し、青年の目を真っ直ぐに見つめた。対するシュバルツは暫くの間考えた後で頷き、どこか疲れた様子で口を開く。
「まーね……いわゆる、命あってのモノダネ、ってやつ?」
シュバルツは、そこまで言ったところで細く息を吐き出した。
「でも、さ、あの子のままで生き続けることって出来ないの? ディックだって、特例を認められたクチじゃん?」
青年は、そう言うと腕を組み、ソファーの背もたれに体重を預けた。一方、彼の話を聞いた者は首を振り、話し辛そうに答えを返す。
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