第一章 塗黒

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+7+  自動書機は  遺物であって  異物ですから 「分かりました。 貴方から、××の名前を頂きます」 埃だらけの手が、目の前に翳される。 「その代わり、私は私の全力をもって貴方を助けましょう」 翳された手に反射的に僅かに目を細めたとき、 彼女の頭から、一つの名前が消えた。 黒髪の人形が手を下ろすなり、頭を下げる。 「私の名前は一偉(イチイ)と申します。 どうぞ、お見知りおきを」 私と彼女の縁は、ここから始まったのでした。 「っ…それは良いから! 私を助けると言うなら此処から出して!」 はっと気付いたように彼女は私の腕を掴む。 「大声は、いけませんね」 困ったように軽く首を傾げて、私は彼女の手を引き離した。 「この場所ならば…あれ、で良いでしょう」 埃っぽく暗い部屋の、彼女が入ってきた扉に指を当てる。 その扉は、通常見えることがないように、影のように、黒い。 私は扉に記す。    『剥黒』 と そして、彼女に向き直り、記す。     『塗黒』 と。
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