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暫く
貴方の夢は見ない
私は彼女の足音を追いかけていました。
私自身は空間の把握が得意ではありませんし、この城のことならば彼女の方が何倍も詳しいでしょうから。
それにしても…当人は裸足だから、足音がしないことに気付いているのでしょうか…
そのまま外に出れば、足を痛めるということも。
……まだまだ手掛かりそうだと、内心でため息をつきつつ、私も彼女に続いて城を出ました。
見張りの影を踏んで。
アーチの影を踏んで。
花の影も、木の陰も踏みながら。
高い高い柵を見上げました。
「此処から、どうされるのですか?」
私は、彼女に低く問いかけました。
彼女は振り返りました。
「どうにかならないの?!」
……私に怒られても仕方がないのですが……。
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