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偽物姫と私は呼ばれた。
最初から偽物だった。
本物になるつもりもなく、
ただただ、それが、
この國のためだと
信じていた。
+++
「蓮華、貴方は今日、この時から、この國の姫××となるのです」
「…はい、女王様」
深く頭を垂れて、一般市民の知るはずのない習慣を沢山覚えることを誓った。
私が表にいるとき、姫は裏に。
私が裏にいるとき、姫は表に。
いつでも私と彼女は裏表だった。
女王様にも王様にも、姫でいる限りは等しく愛されていた。
否、最初から私という人格の居場所は無かったのかもしれない。
城を出るまでは。
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