第四章  冷包(下)

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+1+ さて、金銭が動かずに食事が終わり、金銭の代わりに行為を返す時が来る。 「他のものに影響を及ぼすには私にも文字が刻まれる…のは納得したけれど、」 階段を降りながら彼女が尋ねる。 「効果は永続的ではないのでしょう?」 文字の刻まれた左腕を撫でながら。 「えぇ、一度記した文字の効果は一回限りです」 私の言葉に彼女の足が止まる。 「…それじゃあ…約束、果たせないじゃない! 騙すの?!」 急に声を荒げられる。 が、私は振り返り、肩を竦めて返す。 「まさか」 「…」 疑いの目には、真なる言葉を。 「何事にも…例外はあるんですよ」
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