7人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
+2+
私は、この國が出来上がる頃に前の主人と別れ、眠りにつきました。
彼の人が偉人であったために、私の存在もある程度、上部の人間には認知されていました。そのために、私はこの國の宝物庫の一つ、黴臭い部屋に押し込められる結果となりました。
「此処にある物の中は、何もかも私の物で良いのね?」
「はい、××様」
埃の奥で久しぶりに感じた人の気配に、私は予感しました。
目覚めが近いのだと。
「私に必要なものがあるかしら…
今でさえ満足しているというのに」
さも興味の無いように言い捨てたのは、姫を装う彼女でした。
よもや、全てを無くして最初に得るものが、此処にあるとは…そのときの彼女にも、その側にいた存在さえも、思わなかったことでしょう。
無くなる瞬間を、
彼女は、
どちらの心境で、
見つめていたのでしょう?
最初のコメントを投稿しよう!