第一章 塗黒

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+2+ 私は、この國が出来上がる頃に前の主人と別れ、眠りにつきました。 彼の人が偉人であったために、私の存在もある程度、上部の人間には認知されていました。そのために、私はこの國の宝物庫の一つ、黴臭い部屋に押し込められる結果となりました。 「此処にある物の中は、何もかも私の物で良いのね?」 「はい、××様」 埃の奥で久しぶりに感じた人の気配に、私は予感しました。 目覚めが近いのだと。 「私に必要なものがあるかしら… 今でさえ満足しているというのに」 さも興味の無いように言い捨てたのは、姫を装う彼女でした。 よもや、全てを無くして最初に得るものが、此処にあるとは…そのときの彼女にも、その側にいた存在さえも、思わなかったことでしょう。 無くなる瞬間を、 彼女は、 どちらの心境で、 見つめていたのでしょう?
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