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「鬼を退治して欲しい」
初老の紳士のシンプルだけど意図を理解しにくい台詞により沈黙が流れた。
ガラステーブルとソファーチェアを備えた木崎家で唯一オシャレな部屋は、依頼者を出迎える応接間だ。
私と樹は横に並び、依頼者はテーブルを挟んだ向こう側に座っている。
白いスーツに紫色のネクタイの初老の紳士は、少し気難しそうな人に見えた。
部屋の外で待っているガードマンの存在から、かなりのお金持ちであると想像できる。
学校の制服姿で並ぶ私達と席を同じにするのは場違いかもしれない。
そんな紳士が陰陽探偵事務所に何の用事かと思えば鬼退治の依頼だった……というわけである。
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