Chapter1 おにむすび

3/41
前へ
/379ページ
次へ
「鬼と言いますと、この鬼ですか?」 樹は、両手の人指し指を頭の上に立てる。 「……いかにも、鬼だ」 初老の紳士が表情を変えずに答えた。 「え?」 樹、そのポーズのまま硬直するのはやめて。 「あの。鬼と言っても物語上の鬼ではなくて、心に鬼が棲んでしまった者がいるとか、そういうことですよね?」 私がフォローすると、紳士は表情を変えずに首を横に振った。 「いや“鬼”そのものだ」 え……?
/379ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3843人が本棚に入れています
本棚に追加