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部屋の空気が、いや時間が止まる。
初老の紳士は私をまっすぐに見たまま、樹は鬼のポーズをしたまま硬直している。
困ったな、変な人かもしれない。
落ち着こう。
膠着(こうちゃく)状況を破らなきゃいけないのは、たぶん私だ。
「それは貴方、または誰かが本当に鬼を見たということですか?」
「うむ。被害を受けた私の息子達も、ガードマン達も、鬼に遭(あ)ったと言っているのだ」
紳士が目を大きく見開いた。
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