Chapter1 おにむすび

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部屋の空気が、いや時間が止まる。 初老の紳士は私をまっすぐに見たまま、樹は鬼のポーズをしたまま硬直している。 困ったな、変な人かもしれない。 落ち着こう。 膠着(こうちゃく)状況を破らなきゃいけないのは、たぶん私だ。 「それは貴方、または誰かが本当に鬼を見たということですか?」 「うむ。被害を受けた私の息子達も、ガードマン達も、鬼に遭(あ)ったと言っているのだ」 紳士が目を大きく見開いた。
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