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「そっちへ行ったぞ」
「予定通りだっ」
夜の裏通りに男達の大きな声が木霊(こだま)する。
まだ距離はあるけれど、対象(ターゲット)は確実に近づいていた。
「紬(つむぎ)、準備は大丈夫?」
私の兄、木崎樹(きざき いつき)が確認する。
樹は私より2つ歳上で、高校3年生。
痩せ型だけど運動神経抜群で、私の仕事のパートナーをしている。
身長は170センチくらいで、茶髪。女の子みたいに綺麗な顔をしているのが特徴。
「この通路を突破されるとすぐに住宅街に入る。
ここで食い止めないといけないね」
樹が見つめる先には、少し大掛かりな仕掛けがあった。
電柱を使って蜘蛛の巣のように編んだ太い縄。大きな網のようなそれは、
私達が作った“結界”だ。
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