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しんしんと降り積もる雪の日。  駅のホーム。 学校の帰り道。  手袋をした手にはぁ-っと息をふきかけて待つ、いつもの電車。  「谷口さん、…ここさ、わかる?」 ふっと後ろから声をかけてきた男子。  見覚えはあった。  学校中の女子が騒いでる顔立ち。 隣のクラスだった。  石田琉典(いしだりゅうのすけ)。  参考書を片手に試験に出るページを指差していた。 すらっと伸びた指先。  思わずドキッとした。  成績では1、2位を争う私。 それは隣のクラスでも名前と顔くらい知られていた。  得意な数学の参考書に、さらさらとシャーペンで書き、石田くんに教えた。  彼は感心していた。  すぐ後ろでは、彼の友達が4人ほど冷やかしの目で見ている。  「…って、感じなんだけど…今のでわかります…?」 なんだか恥ずかしくなって目も合わせられなかった。  彼はにこっと笑うと  ありがとうの言葉を残して友達のところへ戻って行った。  ―2年前。 彼と初めて出会った時だった。
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