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「二階の一番端、二○五号室だな」
「それじゃあ、行こうか」
携帯に表示された情報にまた目を向けて、その部屋のある方へと目を向けるライト。それを見れば、ゼルは飛んで部屋の前にある柵へと留まった。
「それじゃあ行こうか、じゃねぇよ……お前だけ先に行きやがって。飛べんのが羨ましいな、歩いていくのがめんどい」
そんな先に行ってしまったゼルに恨めしげな視線を向けつつ、ため息混じりにぼやけば、アパートの階段を上がっていく。
一段一段上がっていく度に、金属を何かで打ち付けるようにカンカンという音が響く。階段を上りきれば、目的の部屋の前に立った。
「飛べないと不便だな」
「黙れ、焼き鳥にすんぞ」
自分は一直線に飛んでショートカットし、正規のルートで歩き、遅れてきた相棒に向かってゼルは悪戯っぽく笑えば、ライトはそんなゼルに一睨みしてから、目の前の扉へと視線を戻す。
扉に「二○五」と書かれた白い小さくて横長の長方形のプレートがついていて、くっつけるようにしてそのすぐ下には、「兎月」と書かれた、上の物より一回り小さなプレートがついていた。
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