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「……一体、何の用でしょうか?」
やはり警戒心を強めてしまったのだろう。そう返す真香の言葉の語気が僅かに強まり、心なしか扉の隙間も狭まったようだ。
「信じてもらえないかもしれませんが、とても重大な話です。どうか、話を聞いていただけないでしょうか?」
しかし、真香のような反応に慣れてしまっているのか、特に慌てた様子もなく笑顔を絶やさないまま、ライトはそう言葉を続けた。
その言葉は抽象的で、あまりに具体性がないため、逆効果になりうるだろう。しかし、嘘をつくよりは当たり障りのない程度でも、本当のことを言えば警戒だって解いてくれると、ライトはそう思っていた。
すると、真香の方にその思いが伝わったのか、僅かな隙間だけしか開いていなかった扉が、ゆっくりと開いていき、扉の向こう側にいた人物がはっきりと姿を現す。
そこには資料に載ってい写真た通りの少女が立っていた。違う点といえば、着ているものが学生服ではなく、白のセーターに青のジーンズとラフな格好をしていることだけだろう。
最初はライトに見とれているかのようにボーッとしていたが、ふと我に返って表情を引き締めた。
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