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「……何の用ですか?」
もう一度訊ねる真香は、姿を現したものの警戒心はまだ残っていた。それが何故なのかは、ライトの見た目が原因であることに間違いない。髪を金に染めていて、いかにもその筋の人物っぽく見えるからだろう。
「その前に、改めてはじめまして。こうして出てきてくれたということは、話を聞いてくれる気になったとでいいんですか?」
だが、ライトはその質問に応えず、逆に真香に質問を返した。聞かずとも、その相手の行動で一度聞く気になったというのは分かるのだが、念のためだ。
しかし、そのライトの応対がまずかった。どうやらおちょくっているようだと勘違いした真香は、ムッとした表情を浮かべて扉を閉めたのだ。
「……閉められたな」
「……ああ、閉められた」
閉められた扉の前に立ち尽くすライトに、背後にいるゼルがぽつりと現状を言葉にすると、人のいい笑みを崩して半眼へと変わったライトが応える。
「ったく、最近は本当にやりづらくなったもんだ。人助けってのは難しい」
「まあ、仕方ないだろう。それじゃあ、いつものようにいくか」
疲れたようにため息をつくライトにゼルがそう言えば、ライトは頷いてその場を後にした。
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