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「一体なんなの、あの金髪……」
突然の訪問者を扉を閉めることで、無言の抵抗で追い返し、私──兎月 真香は一息ついた。人が感傷に浸っている時に、しかもあんな男が訪ねてくるなんてと思いつつ、自分の勉強机に戻る。
別に勉強するためにじゃない。自分で言うのもなんだが、私は成績優秀だ。でも、だからといって勉強が好きなわけじゃない。やらなければならないという意識が、人一倍に強いだけだ。
それなら、なんで勉強机に向かっているのか。ただ、そこに私の求めるものが置いてあるからだ。
勉強机には電気スタンドと数冊の教科書、ノート。それにペンギンのワッペンがついた青のペンケースと、数本ペンが入った淡い赤のペン立て、写真が収められた写真立て三つが置いてある。
そのうちの二つ、家族写真が収められた写真立ての間に挟まれている一つに手を伸ばす。それは木目調のシンプルなものだった。
「悠(ハルカ)……」
その写真立てに納められた写真には、私と唯一親友と呼べる少女──今泉(イマイズミ) 悠が、笑顔で身を寄せ合い、ピースサインをこちらに向けて映っていた。
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